読話(どくわ)とは、くちびるや、舌の動きを手掛かりに、言葉を読み取ることです。口話(こうわ)、読唇(どくしん)ともいわれます。難聴の方は図らずも読話を強いられることがあります。
読話だけで会話を読み取ることは、とても難しいことです。「こうういうことを言ってるんだろう」というくらいにしか分からないのが普通です。
あい、あき、あり、あじ、あし
あお、かお、はこ、かご、あご
はずす、かくす、はくしゅ、かふん、たくす、あるく
口の形が同じような言葉は、たくさんあります。難聴の人はよく聞き違いが起こります。通常の1年生の中にも、話し言葉を文字に表すとき、聞き間違えて覚えていることがわかります。難聴のYさんはそれが度々あるので、書いて教えるとはっきりすることがあります。
はっきり、ゆっくり話すことに加えて、身振りや筆談(文字にする)を入れると、分かりやすくなります。耳の遠いお年寄りの方にも有効な話し方ですね。
また、「す、も、う」と音を区切るのではなく、「すもう(すもー)」と、話し言葉で教えることが必要です。
日本語の難しいところですね。
「声を掛けたのに無視された」と思った上級生がいました。言葉を知らない小さな子がよく分からないときには答えないことがあります。Yさんの場合、言葉が分からないこともありますが、聞き取れないこともあります。人工内耳や補聴器の性能が良くなり聞こえが良くなったのと、みんなの声を聴き分けられるのは違います。大勢の人の中で聞こえないことを理解してほしいし、顔を見て大きな声でゆっくりはっきり話してほしいです。誤解から偏見へとならないように願っています。