難聴学級の担任をして、Yさんのおかげで私自身の世界が1つ広がりました。難聴者の抱える問題や、聞こえの性質、重要性など見えてきました。そして、事故や病気で聴力を無くすことや、老人性難聴といったこともつなげて考えることができます。だから皆さんも他人ごとではないと思います。「家にお年寄りがいるから、Yさんに話しかけやすい(近くで大きな声でゆっくりと)」という子(3年生)もいました。
音読の話
音読は、視覚、思考、記憶、筋肉運動(声に出して話すことも筋肉が必要)、聴覚(自分の声を聴く)など、大脳の別の部位が使われ多くの部分を使うことになります。
難聴のYさんにとっても、音読はとても大切な学習の1つです。何度も同じことを言うことによって発音がはっきりしてきて自信がつくようになるからです。職員室などでたくさん大人の人に聞いてもらいました。その都度「上手だったよ。」「これからもがんばってね。」と声をかけてもらいました。
「がんばって」という言葉は、Yさんに関りをもってくれる心からの声援だと感じています。同時に、私や周りの人ががんばらなければ、Yさんもがんばれないのだと実感しています。みんなで、障碍者でも立派に社会で活躍していけることを示して行けたらなあと思います。ハードル(障害)をみんなの手で飛びやすくなりますように!
トラブル発生!
人工内耳の調子が悪く、修理の都合で3日間人工内耳なしの生活になりました。その1日目に6年生のM君が、Yさんと一緒に遊びたいということでやってきました。ところが人工内耳がなく、いつもより更に聞こえが悪いので、なかなか言葉が通じず、四苦八苦していました。しかし2日目3日目と続けてきてくれました。Yさんが滑り台に走れば、M君が走り、その後をほかの1年生が追っていく。Yさんが鉄棒に走るとそれに続いて…といった感じでした。ありがとう、M君、これから先、どんな会話が広がっていくか楽しみです。