原始系は、食うか食われるか生存競争のサバイバル感覚で、本能的反射的に働く感覚です。生まれたばかりの赤ちゃんには、口の周りに何かが触れると口を向け吸い付く本能的な反射機能があります。また、握りしめる反射や体を引っ込めたりよじったりする反射は、危険に備える防衛・逃避のための反射です。このように原始系には、「取り込み行動」「防衛・逃避行動」「闘争行動」があります。 | 識別系は、知的な情報処理をする「触覚」の働きが進化したものです。例えば、ポケットの中にハンカチとコインが入っていたとすると、手触りでコインだけ取り出すことができます。素材や形、大きさで判断し、いちいち目で確認しなくても認識できます。 |
3カ月頃から反射的に握っていた手の指が開き初め、おもちゃで、触覚を通して識別系のネットワークが育ち始めます。半年過ぎると何でも口に入れてはじーっと見て繰り返し、口の触覚まで使って、見る世界と触る世界を自力でつなげていくのです。
触られるのは嫌がるが触りに行くというのは「取り込み行動」であり、首筋周りや頭、顔、脇腹(命を守る)は、原始系のスイッチが入りやすく、「散髪」「耳垢取り」「歯みがき」「爪切り」また、「タートルネック」「帽子」を嫌がることが理解できます。原始系の働きは識別系が発達していくと抑制されていきます。「がまんさせる」「がんばらせる」「くりかえさせる」では識別系は育たないのです。
「育てにくい子にはわけがある」(木村順)より
子ども達は、くすぐりっこをするスキンシップを好む子もいますが、実をいうと、私はそれが大の苦手です。(原子系です。)脇やお腹は大事な内臓があるし、首筋も命に係わる部位です。触られてもへっちゃらな子どもは、人を寄せることが得意となります。
原始系はいざという時に必要なものですが、社会性という意味では識別系は大切なことです。鉛筆をかじっている子どもが通常学級にもたくさんいます。ネット情報によると子どもが鉛筆をかじるのは子どもの声では「おいしいから」だそうです。その実、不安感やストレスからくるようで、まずは安心感をもたせることも大切だなあと思います。無理にその癖を直そうと注意をし続けると、逆効果です。特に、口唇は、敏感な部位で、刺激を入れたくなるようです。原子系は、赤ちゃんがおっぱいを探すところから始まり、おしゃぶり、指しゃぶりなどそれをすることによって、安心するのです。
どうしたら識別系がうまく育つか、難しいですが、御家庭でのスキンシップから始めてみるとよいですね。感触ボールを持たせ、感触遊びをしたり、また、噛んでもいいシリコン製のキャップを使ってみたりするのもよいと思います。叱らないことで、安心し、他の夢中になることに置き換わっていきます。