平衡感覚が必要なわけは?
地球上に生きている限り、地球の重力に対して、抗い、行動できる力が平衡感覚(前庭覚)とボディイメージ(固有覚)であり、必要な感覚です。
宇宙飛行士が、宇宙ステーションに長い間過ごしたことで、筋力が落ち、歩くことも叶わなくなります。ですから、地球に帰還したらリハビリが行われます。
地球の重力は思うより大きいようです。日頃は気付かないですが、私たちは重力に打ち勝って姿勢を整えています。
宇宙飛行士は、精神的にも身体的にも最も安定した力のある人が選ばれています。それでも地球の重力の負荷がかからないと、筋力が失われ、平衡感覚も難しく、元に戻るには大変なリハビリがあるようです。
生まれたばかりの赤ちゃんは、重力に身を任せるより仕方がありません。3か月くらいで首がすわってきて、その後、座ったり立ったりできるようになります。体幹(インナーマッスル)ができ、平衡感覚を司る内耳の三半規管が育ち、姿勢が整ってきます。姿勢を保つには、他にも眼球運動、足首、かかと、足裏の土踏まずも大切な器官です。
私たちは、毎日重力に身を任せ、睡眠をとりますが、疲れた時にも横になりたくなります。しかし、3日も寝たままの状態だと筋力は随分落ちると言われています。
インナーマッスルや内耳の三半規管が育っていないと、バランスを取りにくく、教室では、座っていても体がずるずる椅子から落ちたり、また、座っていることにも苦痛を感じ、寝そべったり、逆に刺激を入れるために多動になったりします。社会性にも影響があります。
発達障害であるADHDや自閉症スペクトラムの子どもは、この平衡感覚(前庭覚)やインナーマッスルがうまく育っていないことがよくあります。
小さいときに揺れる動きを取り入れるとよいです。ブランコやトランポリンなど、低学年に人気があります。その刺激を必要としているからです。また、ジャングルジムは、ボディイメージを実感させるのに適している遊具です。
学校の遊具が安全面の都合によりどんどん姿を消す中、体を作る上で大事な遊具、これ以上減らさないでほしいです。
おうちの人は、小さい子ども達を遊具のある公園でたくさん遊ばせてください。
※ 三半規管は、回転加速度、直線加速度、重力加速度を脳に伝えます。車の加速度やエレベーターの感覚が分かりやすいですが、地球の重力そのものも平衡感覚(前庭覚)に刺激を与えています。