難聴学級での国語の学習では、「いつ」「誰(何)が」「どこで」「どうした」かということを質問しながら学習を進めます。
「かさこじぞう」の貧乏なじいさまとばあさまの会話の中で、じいさまが「ほんに何にもありゃせんのう。」
ばあさまが土間の方を見ると、「夏の間にかりとっておいたすげがつんでありました。」
という文が出てきます。
そこで、指導者の「何がありましたか?」の問題では「○〇がありました。」という表現ではないので、難しいです。そこで、「積む」などの学習ができます。
「なぜ、かさを作っているのですか?」の問いには、会話文の中で「かさここさえて売りに行ったらもちこ買えんかのう」と出てきますが、「○〇のために傘を作っています」という表現ではないので、なかなか難しいです。
そこでは、「売る」「買う」という言葉、大みそかの次の日は正月、正月にはお餅が食べたい等々、学習する内容は膨らんでいきます。
1つ1つ丁寧に学習していくと、みるみる使える語彙が増えていきます。教科書で学んだ言葉は、他の読み物も分かりやすくなり、話し言葉も増えていきます。
動作化も語彙を身につけるのに役立ちます。じぞうさまのおつむの雪を掻き落とし、かたやらせなやらをなで、かさをあごのところでしっかり結んでやる動作をしながら、確実に、文章を理解し、読み取っていきます。ひどい吹雪の場面は、動画で見せることにより、じいさまの優しさがよくわかります。
人権週間としてのかさこじぞう
もちがほしくて作ったかさをじぞうさまにかぶせ、ついには吹雪の中で、自分だって凍えているであろうに、自分の頭を保護している手ぬぐいまでも差し出す優しいじいさま。「ええことをしなすった」と嫌な顔一つしないばあさま。もちつきのまねごとをし、漬物をかんで、お湯を飲んで休んだじいさまとばあさまは、それはとても気持ちの良い夜だったと思います。
例え、貧乏でも、金持ちでも、体が不自由でも、丈夫でも、心の持ち方で、人間は、人間として幸せに生きていけるのだと思います。