難聴のYさんにとって、学校の放送は聞き取りにくく、バリアの1つとなっています。そこで、お昼の放送の時には、Yさんに直接通じる(機械音を1つ減らせる)FMマイクを放送室のマイクに合わせて設置するようにしました。放送室初設置の日、2年生のF君が[Yちゃん聞こえる?」と心配してくれました。給食時間はいろいろなおしゃべりが飛び交うので、みんなの話も聞き取りにくいのですが、その時も何を言われているのか分からず、その子に対して「早く食べる!」と注意しているのです。注意されたF君も根気よく聞き返して気遣ってくれました。
放送室の上級生はYさんに聞こえるようにとマイクに近づいて話してくれます。場所が離れていることもあり、うまく受信できないこともありますが、放送している子どもが、はっきり発音できれば、他の子どもにとっても分かりやすいことになります。周りが静かに放送を聞いてくれると、Yさんに限らずみんなが放送を聞きやすくなります。学校でのユニバーサルデザインです。
バリアフリーとは、障碍者や高齢者が、生活を営む上で支障がないように作られたもので、ユニバーサルデザインとは、障害の有無に関わらず、使いやすいものです。例えば、車いす用に作られたスロープは、ベビーカーや自転車などでも便利になります。バリアフリーのものが一般の人にとって使いづらいものであるなら、それは、障碍者の人たちにとっても居心地悪いものになりかねません。しかしながら、まずは心のバリアフリーが必要なのかもしれませんね。